私はWebサイト制作・SEOコンサルティングを業務として行っていますが、CRMの使い方やSEOダッシュボードの見方など、「画面を共有しながらポイントを指し示し、語り口調で説明したい」と思うことがしばしばあります。
このようなケースでは、テキストと画像ベースのマニュアルを作成するよりも、動画でチュートリアル形式で説明していくほうがお客さんもチェックしてくれますし、伝わりやすいです。
画面共有でいうと、ビデオ会議で有名なZoomがありますね。
Zoomは回線速度が不安定な状態でも途切れず安定した通話品質を提供することで、多くの人にビデオ会議を「当たり前」のものとして浸透させることに成功しました。
しかし、Zoomは基本的には「会話・会議」をすることを前提として開発されたアプリであり、録画したあとに「共有」することを第一としては作られていません。
そこで、「画面録画して、後で他の人と共有する」ことを第一として作られた海外の有名サービス、”Loom”と”mmhmm”の2つを比較しながらご紹介したいと思います。
なお、私はLoomとmmhmmどちらも有料プランに加入して一定期間利用した経験があり、その経験を踏まえての記述となります。
2023/02/04追記: もう一つ、画面録画・操作説明動画の作成に特化したMac用の Screen Studio という録画ツールを見つけましたので、Screen Studioもご紹介。
目次:
- かんたんに画面と自分の顔を録画し、他の人と共有できる3つの海外サービス
- Loom
- mmhmm
- 美しい操作説明動画をカンタンに作成・編集 “Screen Studio”
- Screen Studioがセルフィー(自撮り)録画にも対応しました: 2023/03/03追記
- Loomとmmhmmそれぞれの思想・特徴を比較
- Loom: Chrome拡張機能・デスクトップから「手軽にワンクリックで」ビデオマニュアルの撮影・共有ができる
- mmhmm: 他ユーザーを招待した「コラボレーション動画」が簡単に作れる
- Loomとmmhmmそれぞれの不満・デメリット
- LoomはYouTubeに直接アップロードができない
- mmhmmはChrome拡張機能がなく、デスクトップアプリを立ち上げてから録画を行う必要がある
- Loomとmmhmmの価格を比較
- Loom: Business Plan $10/月
- mmhmm: mmhmm premium plan $12/月
- Loomかmmhmmかの選択基準
かんたんに画面と自分の顔を録画し、他の人と共有できる3つの海外サービス
Loom、mmhmmともにスクリーン録画・画面キャプチャ録画をしながら、自身の顔を映した形で撮影することが可能。
むしろLoomはスクリーン録画(画面録画)をしながら撮影することを前提としています。
mmhmmはこの限りではなく、背景画像を設定した形でユーザーの顔だけ録画した形で動画を撮影することもできます。
まずLoomとmmhmmの2つについてかんたんに触れてから、Screen Studioの概要について説明します。
Loom
Loom: Async Video Messaging for Work | Loom
loomは名詞では「機織り機」という意味ですが、動詞としては「ぼうっとおぼろげに現れてくる・浮かび上がる」、「ヌッと突然立ち現れる」という意味があります。おそらく後者の意味を想定して命名したのでしょう。
mmhmm
mmhmm | Everything video for everywhere teams | mmhmm
日本語としては「ンー(フ)ムー」のように読みます。(なるほどね・それで?みたいな意味)
美しい操作説明動画をカンタンに作成・編集 “Screen Studio”
Screen Studio — Beautiful screen recordings in minutes
Screen Studioはマウスカーソル箇所の画面拡大などに対応している、操作説明の動画制作・録画に特化したツール。現状ではMacのみ対応です。
マウスカーソルへの拡大と追尾は、撮影後に拡大・追尾させたい箇所を選択することで、自動的に該当箇所が拡大表示になります。またマウスカーソルの不自然な揺れも、AIが自動的に修正。
録画動画の背景をかんたんにGradientなものに変更できたりとするようなので、見栄えの印象が良く仕上がりそうです。YouTubeなどの動画共有サービスに投稿する場合はベストなサービスになるかもしれません。
そして、なんといっても料金設定が良心的。後述するLoom, mmhmmの月額課金と違って一回買い切り価格です。
Mac1台での利用で良いなら$89のみ。1年間は無料でアップデートが可能です。
Screen Studioがセルフィー(自撮り)録画にも対応しました: 2023/03/03追記
Screen Studioで一点注意が必要なのが、2023/02/04時点ではセルフィー(PC内蔵カメラによる自撮り同時撮影)に対応していないところ。セルフィー非対応なのはLoom, mmhmmとは異なる点です。
2023/03/03追記: 2.0へのメジャーアップデートで、Screen Studioがセルフィーにも対応しました!画面の録画を行いながら、自撮りのスクリーンを動画の端に表示させることができるようになっています。
今後追加される予定の機能は下記のロードマップで確認できます。
https://www.screen.studio/roadmap
Loomとmmhmmそれぞれの思想・特徴を比較
ここからは、Loomとmmhmmの2つのサービスについて詳細に触れながら、それぞれを比較していきます。
Loom: Chrome拡張機能・デスクトップから「手軽にワンクリックで」ビデオマニュアルの撮影・共有ができる
Loomは「手軽に録画を開始でき、すぐに共有できる」という手軽さをウリにしています。
その手軽さの一助となっているのが、LoomがChrome拡張機能としても展開していること。
Loom – Free Screen Recorder & Screen Capture - Chrome Web Store
拡張機能の評価も高いです。
他にデスクトップアプリ・モバイルアプリを提供しています。
録画が完了するとすぐに共有リンクが生成され、リンクを共有することですぐに
リンク流出によって誰にでも見られてはまずい、というセキュリティを懸念される方にも、パスワード設定やSSO(Single Sign On)の仕組みがあります。
また、「ビデオマニュアル」としての録画に特化していることから、たとえば説明したい箇所をペンで囲ったりなどの編集を行うことも可能。
録画が完了したあとに、ビデオ自体を簡易編集することも可能です。
mmhmm: 他ユーザーを招待した「コラボレーション動画」が簡単に作れる
mmhmmでは、他ユーザーを招待してあらかじめ作成したスライドを背景として設定することで、複数ユーザーを出演させてのプレゼンテーション動画を撮影できます。
mmhmm | Everything video for everywhere teams | mmhmm
他ユーザーは1人だけでなく、複数の多人数を招待することが可能。トークセッションなどを録画することが可能です。
mmhmmの思想としては、 riverside.fm と少し似ているところがあるかもしれません。
Riverside.fm - Record Podcasts And Videos From Anywhere
しかし、 riverside.fm とmmhmmは、下記のような明確な違いがみてとれます。
- riverside.fm があくまで「ビデオ”podcast”用」に録画することを前提としたサービス。 人物が話す様子や「クリアな音質」にフォーカスを当てている。 あくまで対談podcastとして録画することを目的としている。手軽にビデオpodcastを録画できる。
- mmhmmは「コラボレーションによるビデオプレゼンテーション」としてのアプリ。 何も事前準備せず手軽に複数人で録画することが可能。気軽にグループ会話やパネルディスカッションの録画ができる。さらにあらかじめ資料を準備しておくことで、クオリティの高いプレゼン動画を作成することが可能。
ほかにもLoomと比べると、下記のように「ビデオのクオリティ」にやや重きを置いていることが分かります。
- 背景画像や背景動画を設定できる。自分で作らずとも、プリセットの中から選択できる。
- カメラが顔認識を行い、自動で顔を追尾させることが可能。写り方を気にせず話すことができる
この差はUIにも表れており、mmhmmは録画が完了したあと、iMovieやFinalcut Proなどの動画編集ソフトのような編集画面へと切り替わります。
また、新機能として複数スライドを同時に画面に表示する機能も追加されました。
Loomとmmhmmそれぞれの不満・デメリット
LoomはYouTubeに直接アップロードができない
Loomでは動画を録画したあと、Loomの用意するユーザー用クラウドから一旦ローカルに動画をダウンロードして、DLしたファイルをYouTubeにアップロードさせる必要があります。
他方、mmhmmでは録画が完了してビデオが生成された後、「Share」ボタンを押すことで、mmhmmアプリ上でそのままYouTubeへ動画投稿が可能です。
Loomのように、ローカルを経由してYouTube STUDIO画面を開いてアップロードさせる必要はありません。
mmhmmはChrome拡張機能がなく、デスクトップアプリを立ち上げてから録画を行う必要がある
上記のように、YouTubeに投稿する場合にスムーズなのはmmhmmなのですが、mmhmmはLoomと異なりChrome拡張機能を備えていません。
mmhmmは基本的にデスクトップアプリから録画を行う必要があり、なかなかに重たいアプリなので、立ち上げるまでに少し時間がかかります。
mmhmmはデスクトップの他に、モバイルアプリ・ブラウザ版を備えています。
Product: Web, Mac, Windows, iOS | mmhmm | mmhmm
Chromeアプリがないことの代替としては、たとえばブラウザ版をブックマークしておくことで代用することも可能ではあります。
しかしこの点、Loomは普段Google Chromeを利用している人なら、常に表示される拡張機能ボタンからワンクリックで録画を開始させることができます。
「マニュアル動画を撮影すること自体が面倒だ」とという方にとっては、Loomの手軽さは代えがたいものになるかもしれません。
Loomとmmhmmの価格を比較
Loomは無料プランあり、mmhmmはトライアル期間のみありです。
下記はそれぞれ年間払いではなく、月額払いとした場合。Loomのほうがmmhmmよりも月額$2安いです。
Loom: Business Plan $10/月
年間払いとした場合には、ひと月あたり$8。
Loom Pricing | Start Recording For Free | Loom
Loomは5分以内の短い動画だけであれば、無料プランで使い続けることが可能です。
mmhmm: mmhmm premium plan $12/月
年間払いとした場合には、ひと月あたり$10。
Pricing: Free, Premium, and Teams | mmhmm | mmhmm
mmhmmはトライアル期間の仕組みを採用。無料のままで使い続けることはできません。
Loomかmmhmmかの選択基準
以上を踏まえると、どのような目的で利用するか?という下記のような基準で良いでしょう。差額は月額$2なので、金額差は大きな要因にはならないと思います。
- 「手軽にマニュアル動画を作成したい」ならLoom一択。
- 「他ユーザーとのコラボレーションを行いたい。背景付きの美しい動画として録画したい、YouTubeで公開したい」ならmmhmm。
この記事の気になった箇所を読み返す:
- かんたんに画面と自分の顔を録画し、他の人と共有できる3つの海外サービス
- Loom
- mmhmm
- 美しい操作説明動画をカンタンに作成・編集 “Screen Studio”
- Screen Studioがセルフィー(自撮り)録画にも対応しました: 2023/03/03追記
- Loomとmmhmmそれぞれの思想・特徴を比較
- Loom: Chrome拡張機能・デスクトップから「手軽にワンクリックで」ビデオマニュアルの撮影・共有ができる
- mmhmm: 他ユーザーを招待した「コラボレーション動画」が簡単に作れる
- Loomとmmhmmそれぞれの不満・デメリット
- LoomはYouTubeに直接アップロードができない
- mmhmmはChrome拡張機能がなく、デスクトップアプリを立ち上げてから録画を行う必要がある
- Loomとmmhmmの価格を比較
- Loom: Business Plan $10/月
- mmhmm: mmhmm premium plan $12/月
- Loomかmmhmmかの選択基準
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