目次:
- 原則として国産のヘッドレスCMSであるmicroCMSまたはNewtがおすすめ
- 無料で使いたいならNewt、月額5,000円程度が許容できるならmicroCMS
- 多言語対応の場合や複雑な技術要件には海外製ヘッドレスCMSを検討する
- microCMSやNewtにおいても多言語化対応は可能
- 国産ヘッドレスCMSの代表格: microCMS
- microCMSの無料プランは「お試し」の意味合いが強い
- 静的サイトの場合、SSG(Astro)とCloudFlare Pagesによるホスティングを組み込むことで無料プランでも十分に運用し続けられる可能性あり
- 無料プランが魅力的な新進気鋭の国産ヘッドレスCMS: Newt
- Newtの無料プラン内容: 30,000PVアクセス程度までなら無料プランで運用可能
- microCMSとの機能面での違い・Newtにおけるデメリット
- 無料で十分使える海外マネージドHeadlessCMS: Contentful
- クラウドサービスであるにもかかわらず、無料で十分に利用できる
- 開発者がほしいと思う機能は大体ある。Web上の情報が多いのもメリット
- 情報量の多いナレッジベースコンテンツの立ち上げで活躍したとの声
- 生成AIによる組み込みコンテンツ生成・画像生成機能が面白そう
- 管理画面が日本語化されない点が懸念事項
- Contentfulのエディタは無機質で使いづらい、ブログ・メディアサイトには向かないという声も
- オープンソース・セルフホスティング方式で完全無料のStrapi
- Strapiインストール先サーバーの推奨構成
- StrapiをホスティングするならXserver VPSが良さそう
- 無料でなんでもできる反面、自前でホスティングするコストが発生
- 管理画面は一応、日本語化できる…?
- DeepLによる自動翻訳プラグイン
原則として国産のヘッドレスCMSであるmicroCMSまたはNewtがおすすめ
UIの綺麗さ・機能のシンプルさと十分さ・CMS側で色々と上手いことやってくれるという点などを考慮すると、ヘッドレスCMSの選択肢としては基本的に国産CMSであるmicroCMSまたはNewtのどちらにするか、という選択となりそうです 国産ヘッドレスCMSは優秀なCMSが揃っており、まずは国産から検討していくのが順序として良いでしょう。
他にも会員制サイトに特化したKuroco CMSやA/Bテスト向きのヘッドレスCMS: Spearly CMSなど、さまざまな国産CMSがありますが、今回は一般的なコーポレートサイト・メディアサイト等を前提にしたいと思います。
無料で使いたいならNewt、月額5,000円程度が許容できるならmicroCMS
無料プランのまま使いたいという場合は、30,000PV程度までであれば無料で使えるNewtがおすすめ。
月額5,000円程度のコストを受容できるという場合には、便利な機能を多く備えWeb上の情報も多いmicroCMSが良いでしょう。
ただし、Astroなどを用いて静的サイト化できる場合には、microCMSにおいてもデータ転送量・API呼び出し回数を抑えられるため、無料プランのままでも本番環境として運用できる可能性があります。(後述)
なお、Newtの有料プラン(月額4,000円程度)とmicroCMSの有料プラン(月額5,000円程度)においては制約条件としてはあまり差はありません。
Newtで無料で始めてサイトが育ってきたら有料プラン契約とするか、有料スタートが可能なら最初からmicroCMS、というのが基本スタンスになると思います。
microCMS・NewtのX上でのユーザー感想や概要としての比較などを
多言語対応の場合や複雑な技術要件には海外製ヘッドレスCMSを検討する
例外として、多言語対応が必要な場合や、転送量100GBを超える場合(目安として月間30,000PV)でも極力無料で運用したい、複雑な技術使用をクリアする必要があるなどのユースケースの場合においては、海外製のヘッドレスCMSを検討する必要がありそうです。
今後の運用のことを考えたときに、なるべく知名度のあるヘッドレスCMSにした方が好ましいと考えているため、本記事ではContentfulとStrapiの2つを取り上げますが、多言語サイト構築の場合には下記のような評価をされている方もいます。
3言語以上: Prismic 次点でStrapi 2言語まで: Hygraph 次点でContentful
上記でContentfulが2言語までとされているのは、Contentfulが無料枠で提供している言語ロケール数が2つまでであるためで、コストが発生しても良いならば3言語以上でもContentfulは有用かなと考えています。
ただし、後述するようにContentfulはブログ・メディアサイトには不向きな側面があります。どのような種類のサイト・どのようなコンテンツを多言語展開していきたいか?によっても採用可否が異なってくるように思います。
ナレッジサイト・カタログサイトのように「構造が定型的で、多量のデータを多言語化させて展開させたい場合」などにおいてはContentfulが有用に思われます。
microCMSやNewtにおいても多言語化対応は可能
ひと工夫が必要な方法にはなりますが、microCMSやNewtにおいても多言語対応自体は対応が可能です。
特に2言語の場合、microCMSにおいては1つのAPIで言語ごとにスキーマを作成し、カスタムフィールドを活用することで横並びの日英エディタレイアウトにすることも可能です。
たとえば「更新するニュース記事だけを多言語で投稿したい」というライトな多言語化の場合には、microCMSやNewtでの運用で良いでしょう。
また、1つのAPIではなく言語ごとにAPIを作成することで、3言語・4言語以上でも対応が可能です。自動翻訳させたい場合においても言語ごとにAPIを作っておくほうが運用上好ましいかもしれません。
それでは以下、microCMS・Newt・Contentful・Strapiの4つの主要ヘッドレスCMSの特徴を個別に見ていきたいと思います。
国産ヘッドレスCMSの代表格: microCMS
国産Headless CMSの走りであり雄。組織での運用に十分なさまざまな機能を備えており、第一選択肢となるヘッドレスCMSでしょう。
提供している機能も十分で、たとえばmicro API上からの投稿だけでなく、Post APIを利用したコンテンツ投稿をすることも可能です。
ほかにもカスタムフィールド・権限管理・ワークフローなど、チームで運用するのに便利な機能を備えています。
microCMSの無料プランは「お試し」の意味合いが強い
後述するNewtとの無料プラン比較において、下記が気になるポイントでした。
無料プラン:
- データ転送量: 20GB/月
- API数: 3個
- APIを利用したファイルのアップロード不可
まず、データ転送量が20GBまでということで、月間アクセス数が6,000〜7,000PV程度が上限。この上限値を超えてしまうとどうなるかというと、APIを呼び出してもコンテンツが返ってこなくなります。つまりコンテンツが表示されなくなってしまいます😱
データ転送量について参考: 【法則】レンタルサーバーの転送量は何ギガ必要?PVごとの目安を解説
microCMSにおけるAPI数とは、コンテンツの「種類」のことで、たとえばブログ・カテゴリ・タグといったコンテンツの種類を作成すると、それだけでAPI数を3個消費することになります。
このようにmicroCMSの無料プラン(Hobby)は「お試し」の意味合いが強いため、原則として有料プラン(Team: 4,900円/月〜) 以上の利用がメインとなるでしょう。
静的サイトの場合、SSG(Astro)とCloudFlare Pagesによるホスティングを組み込むことで無料プランでも十分に運用し続けられる可能性あり
ただし、AstroなどのSSGを利用して静的サイトとして運用することができる場合には、無料プランのまま運用していくことができるかもしれません。
ビルドするたびにAPIリクエストとすることでコンテンツの変更を反映。ユーザーリクエストからはAPIリクエストしないように設定することで、APIの呼び出しとmicroCMSからのデータ転送量を最小限に抑えることができます。
- Astro + microCMS + Cloudflare Pagesでモダンブログを無料で作る方法|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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無料プランが魅力的な新進気鋭の国産ヘッドレスCMS: Newt
無料プランがお試し利用の意味合いが強いmicroCMSとは異なり、Newtにおいては無料プランのままでも一定程度、本番として運用していくことが可能です。
また、Form AppというHTMLコードを埋め込むだけで実装可能なヘッドレスフォームを提供しているのも特徴的。
Newtの無料プラン内容: 30,000PVアクセス程度までなら無料プランで運用可能
- メンバー数 : 1
- モデル数 : 10
- 月間最大100万リクエストと100GBのデータ転送(超過時は停止)
月間データ転送量の上限が100GBということで、30,000PV程度までのアクセスなら耐えうる可能性をもっています。
割当可能がメンバーがmicroCMSの3名なのに対し、Newtは管理者アカウント1のみなのは要注意。
microCMSとの機能面での違い・Newtにおけるデメリット
microCMSとの機能面での違い・Newtにおけるデメリットとしてはたとえば下記。
- レスポンシブ対応しておらず、モバイルからはCMS管理が難しい
- POST APIの用意がなく、CMS管理画面のみからのコンテンツ投稿となる
- ワークフロー機能がない(?)など、一部の便利な機能が用意されていない
ただ、WordPressからの乗り換えという観点では、NewtのほうがWordPressライクなデータ構成を意識しているようで、違和感が少ないようです。
無料で十分使える海外マネージドHeadlessCMS: Contentful
ヘッドレスCMSの先駆け、大御所のイメージ。
最近ではAIによるコンテンツ生成機能や、コンテンツの共同編集機能も組み込んでいるようです。
クラウドサービスであるにもかかわらず、無料で十分に利用できる
マネージドされているクラウドサービスであるにも関わらず、無料プランで十分に使用できるのが魅力的です。
Free $0 / forever
- 5 users
- 2 locales
- Role types: Admin, Editor, Author, Translator
- API Calls: 1M/month + space (no overages, rate limits)
- Asset bandwidth (CDN) usage limit: 0.1 TB/month + space (no overages, rate limits)
- Asset Upload Size: 50MB
無料枠で5ユーザー用意できるのは大きな違いです。
冒頭で説明したとおり多言語化にも対応。無料プランでは2つまでの言語ロケールを設定可能です。
多言語対応をするサイトの場合、Contenfulはかなり良いヘッドレスCMSの選択肢となりうるのでは?と感じています。
開発者がほしいと思う機能は大体ある。Web上の情報が多いのもメリット
クラウドサービスであるため、自前でホスティングする必要ないにもかかわらず、CLI経由でマイグレーションができたり、環境を複数用意できたり、痒い所に手が届いている印象です。 おそらく、開発者が欲しいと思う機能は大体あるし、殆どの操作がCLI経由で出来るので、コマンド一発で構築終わり!が実現できます。 利用者が多く、情報や有志のモジュールが多い点も良い。
情報量の多いナレッジベースコンテンツの立ち上げで活躍したとの声
情報量の多いナレッジベースコンテンツを立ち上げるのに 既存のCMSではカスタムフィールドが大量に必要になってしまい 維持・管理も難しいということで導入した。 フィールドをイチから設計できるのでみごとに当たり 比較的容易に構築することができた。 ただ、一般的なニーズまですべて満たすかというと、 最初にビュー側のファイルをゼロからつくらなくてはいけない敷居は高いと思う。
生成AIによる組み込みコンテンツ生成・画像生成機能が面白そう
ContentfulはOpenAIと連携したコンテンツ生成機能・画像生成機能を備えています。
特にコンテンツ生成は最大100近くの言語への自動翻訳をあわせて行うこともでき、多言語サイトにおいては特に力を発揮しそうです。
管理画面が日本語化されない点が懸念事項
懸念事項があるとすれば「管理画面が日本語化できない」という点でしょうか。クライアントワークにおいては使いづらいところです。言語ロケール自体はもちろん日本語を設定可能です。
また、多機能なぶん他CMSより設計難易度が高そうです。
Contentfulのエディタは無機質で使いづらい、ブログ・メディアサイトには向かないという声も
ブログから出発しているWordPressと比べて、Contentfulのエディタは様々なメディア・コンテンツの入力を想定しているがためにライティングしづらい・使いづらいという声がありました。
これに関しては、最近ではWordPressもブロックエディタが主流となり、WordPressもContentfulと同様の事態(ライティングしづらい)になっていると感じています。
そもそもクラシックエディタの頃から操作感は微妙だと感じていました…。UIはブログらしくて良かったのかもしれません。
エディタ以外でも、投稿するコンテンツの内容が構造的に制約されてしまうという点において、ブログ・メディアサイトのような運用がしづらいという意見もありました。
ブログっぽいものを作りたくて今回Contenfulで試行錯誤してみましたが、感想としては他の方の記事にもあったように、Contentfulはブログには向いていないのかなという印象でした。 それこそECサイトのようにどこどこにこれを表示し、あれあれにこれを表示するというふうにカチカチに固めるならまだしも、ブログはあげたい画像も数もそのブログ記事によって異なりますからね。
シンプルなブログ・メディアサイトや、コーポレートサイトのお知らせ投稿にヘッドレスCMSを利用したいというライティングが主となるユースケースにおいては、Contentfulはあまり向かないのかもしれません。
反面、上述したようにナレッジサイト・カタログサイトのように多量の構造定型的なコンテンツを多言語で展開したい、という場合にはピッタリはまる可能性のありそうなCMSです。
オープンソース・セルフホスティング方式で完全無料のStrapi
Headless CMSでは珍しいオープンソース。原則としてセルフホスティング形式。
Strapi自体は完全無料で利用することができますが、ホスティングが必要なためサーバー料金は別途発生します。
Strapiインストール先サーバーの推奨構成
Strapiをインストールさせるサーバーの推奨構成・最小構成としては下記。
Hardware | Recommended | Minimum |
CPU | 2+ cores | 1 core |
Memory | 4GB+ | 2GB |
Disk | 32GB+ | 8GB |
StrapiをホスティングするならXserver VPSが良さそう
ホスティング先としてはさまざまな方法がありますが、ミニマムな方法としてはVPSがあります。
XserverVPSが2023年10月にアプリケーションイメージにStrapiを追加し、簡単にインストールさせることが可能になりました。
価格帯としてもXserver VPSがおすすめ。2GBプランであれば月額1,150円(1ヶ月ごとの更新契約)で利用が可能です。
ただし、さくらVPSがSiteGuard Server Edition(WAF)をプラン内で無料提供しているのに対して、Xserver VPSはWAFを備えていないという話です。
「さくらのVPS」「さくらのクラウド」「さくらの専用サーバ」をご利用中のお客様は、 ホスト型WAFの「SiteGuard Server Edition」製品版の全機能をご利用いただけます。 プロキシ環境を構築する場合を除き追加料金なしでご利用頂けます。
Xserver VPSでWAFを装備したい場合には、別途サードパーティ製のWAFを導入またはクラウド型WAFの導入を検討する必要があるでしょう。
無料でなんでもできる反面、自前でホスティングするコストが発生
セルフホストすることでコストを下げ、何でもできるという形になりますが、それはメリット・デメリットが表裏一体となっています。当然、Strapi自体の保守・セキュリティ対策が別途発生してくるので要注意。
オープンソースということで安心感もありWordPressの代替としても良さそうに感じるのですが、Web上の記事ではしばしばエラーや不具合が発生していたり…少し怖いなと思うのが正直なところです。
保守を行うということは、定期的にStrapiおよびnode.jsのアップグレードを実施する必要があるということです。アップグレード時の不具合対応を思うと、やはりなかなか手軽には導入しづらいなと…!
なお、2023年にStrapi Cloudというマネージドプランが登場しています。
管理画面は一応、日本語化できる…?
管理画面にInternationalizationという項目があり、この項目を変更することでStrapiの管理画面を日本語化できるとのこと。
しかし、 Strapiの日本語化 - きじさばメモ にあるように、日本語化設定を行ってもうまく動作しないという場合もあるようです。
DeepLによる自動翻訳プラグイン
ひとつ、Strapiの面白い機能としてDeepLによる自動翻訳プラグインというものがあります。DeepLのAPIを利用して、コンテンツを自動翻訳させることが可能です。
翻訳の手間をかけたくない場合には、本機能を利用してみても良いかもしれません。
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- 無料で使いたいならNewt、月額5,000円程度が許容できるならmicroCMS
- 多言語対応の場合や複雑な技術要件には海外製ヘッドレスCMSを検討する
- microCMSやNewtにおいても多言語化対応は可能
- 国産ヘッドレスCMSの代表格: microCMS
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- 静的サイトの場合、SSG(Astro)とCloudFlare Pagesによるホスティングを組み込むことで無料プランでも十分に運用し続けられる可能性あり
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- Newtの無料プラン内容: 30,000PVアクセス程度までなら無料プランで運用可能
- microCMSとの機能面での違い・Newtにおけるデメリット
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- 生成AIによる組み込みコンテンツ生成・画像生成機能が面白そう
- 管理画面が日本語化されない点が懸念事項
- Contentfulのエディタは無機質で使いづらい、ブログ・メディアサイトには向かないという声も
- オープンソース・セルフホスティング方式で完全無料のStrapi
- Strapiインストール先サーバーの推奨構成
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- 無料でなんでもできる反面、自前でホスティングするコストが発生
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