SEOで有名なおおきさんが下記のツイートをされていました。
実際のところ、ビジネスというのはシンプルなもの。 本記事では、おおきさんが言う「商売は逆算で成り立つ」の6つのステップを私なりに掘り下げてみました。 この6ステップは、スモールビジネスにおける「商売の設計図」と言い換えることもできます。
本記事では、大きなビジネスというよりも、数点の商品を売る・個人店舗・ノマドワーカーとして起業するというような「スモールビジネス」を前提として記述しています。
起業するというのは、必ずしも大きな事業を立ち上げることだけではありません。自分が商売をすべきか、それとも大きな事業事業を立ち上げることを目指すべきかは 起業する人の2つのタイプ。実現型と自由型 からチェックしてみてください。
目次:
- 1.まず、売るものを決める
- 「とりあえず」で決めておく
- 完璧主義にならない
- 商材として何を売れば…?自分のもっているスキルを・資産を棚卸しする
- マーケットから始めず、まずは「あなた」から始める
- 競合サービスを調べてみて、市場が存在するかをチェックする
- 課金形式、料金を考える
- 「価格」は商品そのものの一部である
- 書き出したあなたの商材・サービスを絞り込んでいく
- 2. 欲しがっている人を探す
- あなたの顧客は誰ですか?
- 理想の具体的な顧客の描き方: "ペルソナ"
- B2Bの場合のペルソナ設計
- 参考: 「N1顧客」手法について
- 3. ペルソナが欲しがる情報を探し出す
- ペルソナになりきって、情報に触れてみる。同時に競合を把握する
- 顧客の道順を考える。カスタマージャーニーマップ
- 4. その情報をばらまく
- ペルソナはどこにいるのか?マーケティングチャネルの選定と最適化
- 情報をばらまくとき、SEOは第一選択のチャネルとしてはあまりおすすめできない
- 5:人を集める
- ほとんどの顧客は、すぐには買わない
- 潜在顧客を育てよう。リード・ナーチャリング
- 毎日のメールマーケティングは大変。ならばステップメール・Lステップを活用していく
- マーケティングオートメーションは必要か?
- 「育てない」という選択もアリ
- 6. 売る(売るときの改善、売った後の改善)
- さらに売上を高めるために、売り方を改善していく
- 売れなかったときに、売れなかった理由を考える
- 商売・ビジネスプランの作成や実行に行うことは多い。でもシンプルかつ面白い!
1.まず、売るものを決める
「とりあえず」で決めておく
まずは、何を売るか?がスタート地点。どんな企画も、どんな商品・サービスを売るかというところから始まります。
しかし、同時にここが一番難しいところ。
この「売るものを決める」ステップでは、「とりあえず」で決めておくことが重要です。確定させてはいけません。
なぜなら、まず商品やサービスが決まらなければ、そこから次の段階に進めないからです。この段階で誤りがあろうがなかろうが、いずれ全体のプランを修正する必要は必ず生じます。そのため、まずは「とりあえずこれを売ると考える」という仮決めでスタートしてみましょう。
完璧でなくてもいいので、まずは全体の計画をひと通り組み立てることが大切なのです。
完璧主義にならない
完璧主義にならないように。ほとんどの場合、最初の計画はうまくいかないもの。
どんな計画も調整していく必要があります。そしてその調整をするためには、テストを実施し、テストから得られた結果が必要です。
したがって、計画は早く立てれば立てるほど良いと言えるでしょう。
売る製品やサービスは、1つだけでなくいくつかを同時に考えても構いません。しかし、製品やサービスが異なれば、多くの場合、全体のプランも製品・サービスごとに異なるものになることに留意してください。
商材として何を売れば…?自分のもっているスキルを・資産を棚卸しする
スモールビジネスでは、基本的にあなたが持っているものを売ります。 つまり、あなたの興味、才能、スキルから生まれたサービスや商品です。
例えば、あなたがブログを書くことができるなら、SEO記事のライティング代行などを売ることができます。
商材を決めていくために、自分のもっているスキルやキャリア、資産(たとえばSNSアカウントやブログなど)を棚卸ししていきましょう。
この棚卸しの方法として、マインドマップ形式で棚卸ししていくことがおすすめです。
厳密なマインドマップである必要はありません。黒ボールペン一本にでOKなので、白い紙に思いつくままどんどんと書き出していきましょう。
この段階ではとにかく自分の可能性を出し切っていくことが重要。まずは拡散思考で、否定はせずにどんどんと書き出していきましょう。
自分の考えを制限せずに書き出していくためには、自由度の高い「紙」への書き出しがおすすめです。PCのメモ帳では、どうしても制限が生じてしまいます。
紙で十分に自分のスキル・キャリア・資産を書ききった後、絞り込みと具体的な商品・サービスとなりうるものをリストアップしていきます。絞り込み方については後述。
マーケットから始めず、まずは「あなた」から始める
販売する製品・サービスを考える際、「あなた」から考え始めることがお勧め。決して「マーケット」から入ってはいけません。
マーケティング神話では、しばしば「マーケットイン」から始めると良いとされています。
しかし、スモールビジネスでは、あなたが今持っているスキルから始めることをお勧め。
スモールビジネスは小さく始めて、小さく失敗することが必要です。成功するにしても、事業は小さければ小さいほど優秀。
ビジネスを立ち上げるということは、自転車に乗るようなもの。市場調査よりもまず自分で商売を始めて、お客さんと話をし、計画を練り直すことの方がずっと重要です。
もちろん、マーケットが重要であることに変わりはありません。どのマーケットを選ぶかで、成長も収入も違ってきます。
どんなに良いマーケットがあっても、参入できなければ意味はないのです。
まずはスモールスタートをすること。失敗しても大丈夫。すぐに再チャレンジすれば良いだけです。
競合サービスを調べてみて、市場が存在するかをチェックする
自分のスキル・キャリア・資産の棚卸しができたら、競合サービスを調べてみましょう。
それでも自分が販売する商品やサービスを何にするか迷う場合や、具体的な商品の形にするときに迷った場合には、自分のスキル・キャリア・強みに関連する商品・サービスがどのような形で提供されているか調べてみましょう。
このとき、「全く世にないもの」ではニーズがありません。「競合サービスがある」ということは「ニーズがある」ということなのです。
ポイントは、「あまりに独自性の強い商品にはしない」ということです。
一般的に認知されているような具体的な商品・サービスでない場合、たとえば検索キーワードが存在しないこととなってしまいます。
その場合、後述する集客チャネル(広告チャネル)が課題に直結できる「キーワードベース」ではなく、認知を得るための動画広告やSNS広告しか利用できないこととなってしまい、CPAが高騰しがち。
具体的な悩みや、具体的なサービス名が思いつきやすいサービスであれば、キーワードベースで広告出稿が可能です。強い課題意識を感じているユーザーであれば、成約に至るまでのスピードはそれだけ早くなります。
課金形式、料金を考える
売上へのインパクトが大きい部分や、ターゲット選定にも影響を与えるのがこの部分。
まず販売形式1つをとっても、たとえば下記のような方法があります。
- 単純1回課金 (フロー型ビジネス)
- 反復継続課金
- リカーリングモデル(従量課金制の反復販売)
- ジレットの刃モデル (初期を安く、消耗品で回収)
- ゲームソフトの本体とソフトウェアのモデル(オプションを複数の中から選択可能)
- サブスクリプション(定額制の期間課金)
料金についても、さまざまな決め方が存在します。
- 原価から考える
- 競合の価格から考える
- 顧客にもたらす「価値」から考える
特に、最後の価値プライシングモデルを採用する場合、後述する「ペルソナ設計」が大切になります。
なぜならば、同じ価格であってもペルソナによって(価格に対して)価値が高い・低いと感じる基準の金額は異なるからです。
たとえば、年収2,000万円の人にとって、ホテルラウンジでのコーヒー1杯に2,000円かけることは「くつろぎとリラックス、利便性を鑑みると『安い』」と感じられやすいでしょうが、年収400万円の人にとっては「高い」と感じられやすいでしょう。 (もちろん年収だけでなく、ペルソナがもつ価値観も重要。この場合、年収は価格への「許容性」として作用するでしょう。)
課金形式、料金については自分の販売する標品・サービスや、訴求していくターゲットとの中で調整していく必要があります。最もコントロール性がきき、かつ工夫の余地が大きい部分かもしれません。
「価格」は商品そのものの一部である
ここで強調しておきたいのは、「価格」は商品そのものだ、ということです。
たとえば、販売単価1,000円のTシャツと、100,000円のTシャツを想像してみてください。他の情報が一切与えられていない状態でも、100,000円のTシャツときくと「すごそう」「素材にこだわりがありそう」「有名デザイナーが手掛けていそう」「ブランド物だろう」と想像するのではないでしょうか。
このように、価格というのは商品そのものであり、顧客に送るメッセージの1つでもあります。
たとえば、100,000円のTシャツの場合、おのずと顧客層は高収入層に絞られてきます。
ただし、たとえば月収200,000円の人がこのTシャツを買わないかというと、必ずしもそうではありません。熱烈なファンであれば、借金をしてでも買う、という人も多いのです。
難しいところではありますが、価格は「この商品はあなたのような人のためのものです」というメッセージになります。
同時に、価格は一度決めてしまうと、その後に上下させることは難しいです。
- 価格を下げてしまうと、既に買った方への失望を生む。
- 価格を上げてしまうと、既に買っている人が離れてしまう可能性がある。
個人的には、値下げは絶対におすすめしませんが(B2Bの各取引における交渉の場ではアリ)、値上げは定期的に実行するほうが好ましいと思います。特にスキル型の商品・サービスの場合には、実績がついてきた場合にはどんどん値上げしてしまって構わないと個人的には思います。
それでも欲しい、と言ってくれる人があなたの本当のお客様なのです。
いずれにせよ、最初に決定する値段はインパクトが大きいため、慎重に決めていく必要があります。
書き出したあなたの商材・サービスを絞り込んでいく
以上を踏まえて、マインドマップ等であなたが販売可能な商材・サービスを書き出していきましょう。
十分に書き出せたら、下記のように商材・サービスの特徴を書いていきます。
■ 商材・サービス内容 | ■ コスト | ■ 販売価格 | ■ 課金方式 |
例) ソムリエが毎月あなたのために選ぶ、おすすめワインのサブスクリプション(そのワインに詳しくなれるウンチクbook, おすすめマリアージュレシピ付き) | ・ワイン原価
・それぞれの好みに合わせたワインのセレクト
・ウンチクとレシピの作成 | 8,800円 / 月 | サブスクリプション |
重要なのはコストについても考えておくことです。スモールビジネスの場合、原価もさることながら、あなたの時間や手間などのリソースを割くことになります。
そのコストを鑑みても十分なリターンが望めるか、また「それでもやりたい」と感じられるか?というポイントから、実際に販売する商品やサービスを決めていきましょう。
特に「スケールするか」「売上が積み上がるか」という考え方は重要です。価格がそれほど高くなくても、物販のようにスケーラビリティがあるビジネスや、サブスクリプションのように売上が安定して積み上がっていくビジネスは好ましいです。
一回きりの都度販売ビジネスは、基本的には新しい顧客に売り続けるか、既存顧客へのリピート販売を行うかの2択しかありません。そのままだと疲弊してしまうため、単価を上げて高級サービスとして十分な利益を確保するか、早めに他の商材・サービスへの切り替えを促せるようにしておきましょう。
反対にいうと、低価格で顧客との取引を開始できる「フロントエンド商品」はアリです。
ただしフロントエンド商品はマーケティングとしての要素が強い商品であるため、「売るものを決める」というこのステップではあくまで本当に売りたい商品(バックエンド商品)について考えるようにしましょう。
2. 欲しがっている人を探す
あなたの顧客は誰ですか?
さて、何を売るかは決まりました。次は「誰があなたのサービスや商品を欲しがっているのか」を知ることです。
言い換えるなら、"あなたの顧客は誰なのか "ということ。
この問いに答えるために役立つのが、「ペルソナ」思考です。ペルソナ思考は、あなたの頭の中、そしてあなたのチーム(チームがある場合)を整理するための、よく知られたマーケティング手法です。
「ペルソナ」とは、あなたが理想とする、あるいは現実的な顧客として想像する架空の人物のこと。
しばしばマーケティングに使われる「ターゲット」と比較すると、「ペルソナ」は実在しそうな具体的な一人の人間として描写する必要があります。
理想の具体的な顧客の描き方: "ペルソナ"
具体的なペルソナを描くには、以下のように詳細なステータスを決めていく必要があります。ペルソナを描くためのステータスには、2種類のものがあります。
ペルソナを描くためのステータス:(例。B2Cの場合)
■ デモグラフィック特徴 (属性情報)
- 名前
- 年齢 (「30代」、「40代」などは不可。具体的な「34歳」などの数字。)
- 性別
- 住所
- 家族構成
- 仕事
- 会社に所属している場合、役職
- 収入(本人および世帯)
- 尊敬する人
- 趣味
■ サイコグラフィック特徴 (心理・行動情報)
- 休日はどのように過ごしますか?
- 好きなブランドは?
- 趣味は?
- 趣味にかけるお金は?
- 自分のキャリアをどう考えているか?
- オピニオンリーダーは誰?
- ニュースソースは?
- 好きなYouTubeチャンネルは?
- 普段使っているSNSは?
- 友人・知人との連絡手法は?メールorLINE, or SNS?
- 好きな本や雑誌は?
- どの政党を支持しているか?
なお、定量的なデモグラフィック特徴よりも定性的なサイコグラフィック特徴のほうが重要である、という意見もあります。
あなたの仮説や、どんな商品・サービスを販売したいかによって、ペルソナで設計するステータスは異なります。
ペルソナをどのくらいまで具体化するかは、本当に存在する人物かのように想像できるようになれば十分です。
後で紹介するカスタマージャーニーマップにおいてもそうなのですが、「入力が妄想ならば、出力も妄想となる」という言葉があります。
これは、インプットする情報が架空の情報であれば、出力も架空のものとなる、という意味です。
事業を始める最初期においては仕方のない部分も多いですが、すでに顧客を抱えている状態であれば、なるべく既存顧客の情報を利用してペルソナ作成していくほうが、より現実に近いペルソナを作成することができるでしょう。
最初期で実際の顧客を抱えていない場合においても、見込み客となりそうな人にヒアリングすることで顧客解像度を高める、という方法もあります。
そして、ペルソナに名前をつけることも忘れてはいけません。命名は、ペルソナを生かすための重要な儀式です。
B2Bの場合のペルソナ設計
上記ステータスは、B2Cの場合のペルソナ設計ポイントを例として挙げました。
しかし、B2Bの場合のペルソナ設計も基本的には同様。「会社」をペルソナ設計するのではなく、「〇〇会社の代表取締役」「✗✗会社の事業部長」など、人物ベースで具体的に設定していきます。
ただB2Bの場合には、人物の所属する会社について、下記も併せて考えておくと良いでしょう。
■ カンパニー特徴 (仮に命名します)
- 所属する業界・業態
- 業界での順位・シェア
- 競合
- 事業規模・売上
- 従業員数
- 利益剰余金・資本金
- 決算月
- 決済までの稟議フロー
特に、稟議フローにおいては決裁権者が問い合わせ者と別の人の場合や、単価が一定以上の場合には稟議フローが異なるなど、具体的に想定されるフローを考えておくことが大切です。 この稟議フローを考えておくことで、問い合わせ者の購入しやすさ・ハードルの低さを演出することができます。
参考: 「N1顧客」手法について
ペルソナレベルの粒度をもつマーケティング手法として、近年では「N1顧客」手法が挙げられます。
ペルソナにおいても実際の顧客データを利用してペルソナを設計することはありましたが、N1顧客手法は実際にいる顧客データを「そのまま利用する」という点が異なります。
N1顧客においては、架空の情報は一切なく、すべて現実に実在する顧客(の特定1人)となります。
N1顧客の手法が活かせるとすれば、下記の条件を満たす場合でしょう。
- 一定以上のボリュームの顧客データ量がある
- 特定の顧客と直接、接触した経験がある。あるいはこれから接触可能。
すでに商売を開始しており、一定期間データや顧客情報を取得できている場合、N1顧客手法は強力なマーケティング手法となりえます。
なにより、「実際にその顧客が偽りなく存在している」という点においては説得力があるでしょう。
ただし、そのN1顧客が本当に理想とすべき顧客か?という点を取り違えてしまっては大きな誤りとなってしまいます。
そのためには、一定以上の顧客情報の量と、具体的にその顧客のことを知り描くことができる、という解像度の質が重要になってきます。
まだ商売をスタートする前の段階、あるいはスタートして日が浅い場合には、N1顧客を設定することは危険です。理想の顧客にまず巡り合うために、ペルソナ設定から始めていきましょう。
3. ペルソナが欲しがる情報を探し出す
さて、ペルソナが完成しました。ペルソナを考えておいたことは、今後のステップを決めるのに非常に役に立ちます。
次に、ペルソナのような人に具体的にアプローチしていく方法を考えます。そのためには、ペルソナがどんな情報を欲しているのかを知る必要があります。
ペルソナになりきって、情報に触れてみる。同時に競合を把握する
この「3」のステップでは、設計したペルソナの情報に従ってリサーチを行います。
具体的には、ペルソナになりきって下記を行ってみると効果的でしょう。
- ペルソナが触れる情報媒体(Webメディア、SNS、動画メディアなど)を回遊してみる
- 課題をもっているペルソナが目を引きそうな広告・動画をチェックしてリストアップしておく
- ペルソナが課題をもったときに、どのような検索キーワードで調べるか考える
- 実際に検索キーワードで検索してみて、知識が深まっていくなかでさらに使っていく検索キーワードを考え、さらに検索していく。すべての段階の検索キーワードをリストアップしておく。
- ペルソナの課題を解決してくれそうな競合サービスを見つけたら、見つけた経路と訴求メッセージ、特徴や料金などをリストアップしておく
特に、検索キーワードを基準に考えていくことは重要です。検索する、という行為はそれだけ明確に問題を感じており、購買ポイントに近い行為であると言えます。
顧客の道順を考える。カスタマージャーニーマップ
必要に応じて、カスタマージャーニーマップを描いてみるのも効果的。
詳細にカスタマージャーニーマップを描くことは策定に時間がかかるため、まだ現実の顧客との設定がない顧客解像度の低い状態では、「雑な」カスタマージャーニーマップでOK。
一旦、全体のプランが完成して走り出した後、改めてカスタマージャーニーマップを描きなおしていくと良いでしょう。
カスタマージャーニーマップは情報の整理に役立ちます。粗めのものでも、落書きのような形で良いので最初に顧客がたどるであろう道順を考えておくことは有用です。雑なものでも経験として作ってみると良いでしょう。
カスタマージャーニーマップについては、下の書籍がわかりやすいです。ペルソナ策定方法についての記述もあり。
4. その情報をばらまく
ペルソナが欲しがる情報を知ることができたら、製品・サービスのページやブログ記事、広告に情報を掲載しましょう。
もし情報に説得力があれば、見込み客の注目を集めることができます。
ペルソナはどこにいるのか?マーケティングチャネルの選定と最適化
情報をばらまく際、「ペルソナはどこにいるのか?」を想像することが大切。
たとえば、ペルソナにyoutubeを見る習慣があれば、YouTubeに広告を出すことができます。(自分のチャンネルやYouTubeの有料広告など)
どのマーケティングチャネルがベストなのかを決めるのは難しいことです。まずはテストマーケティングとして、1~2のチャネルを試してみるのがよいでしょう。
テストマーケティングの際、「どのチャネルが最適そうか?」ということと、「そのチャネルの中での最適化」は同時に行わないようにしましょう。
具体的には、下記の順番で実施しています。
- "どのようなチャネルが有効であるか "を見つける。2つまでのチャネルでテストしていき、可能性のあるチャネルをつぶしていく。 その際、それぞれのチャネルのCPA(Cost per Acquisiton)を記録しておき、それぞれのチャネルで比較する。
- 次に、そのチャネルでのやり方を最適化していく。CPAを下げていく工夫をつづける。
参考書籍: トラクション ―スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル | ガブリエル・ワインバーグ, ジャスティン・メアーズ, 和田 祐一郎
情報をばらまくとき、SEOは第一選択のチャネルとしてはあまりおすすめできない
私自身、SEOコンサルタントとして活動をしていますが、これから新しく商売を始めていく、また始めて間もない場合には、 SEO は第一選択としてはあまりおすすめできません。
というのも、SEOにはチャネルとして下記の特徴があるためです。
- 上位表示の効果が出るまでに時間がかかる
- 上位表示のためには一般的にはInformationalな情報(いわゆる「役に立つ」情報)を載せる必要があり、すぐに成約に結びつくようなセールスページ(いわゆるLPなど)とは掲載できる情報が異なる
- コンテンツ制作自体にコスト(自分でやる場合にも時間)がかかる
上記ツイートではスタートアップの場合で語られていますが、スモールビジネスの立ち上げ段階でも同じことです。
特に商売の全体構成がはっきりしていないテストマーケティングのような状態においては、もしかしたら販売する商材・サービスに大きな変更が加わるかもしれません。その場合には、SEOコンテンツ作成に費やしたコストが無駄となってしまいます。
顧客の反応を得る前にSEOチャネルを開拓していくのはリスキーな行為であると言えるでしょう。
ツイートでも語られているとおり、初期は広告を利用して多くの見込み客にリーチし、実際に売れるか?をまず検証していくのがオススメ。
検証後、CPAを下げるような目的や長期的なブランディングのためにSEOコンテンツを制作していくのが理想的な流れとなるでしょう。
5:人を集める
さて、見込み客が欲しがっている情報の配信を開始しました。
しかし、配信するだけでは、売上を獲得することはできません。なぜでしょうか?
ほとんどの顧客は、すぐには買わない
すべての購買行動にはプロセスがあります。あなたの見込み客の多くは、即座に購入することはまずありません。
特に、B2Bビジネスを始めるなら、B2Cよりもはるかに長い時間をかけて取引が行われます。
B2Bの分野では、顧客企業の内部でチェックする時間があるためです。
もちろん、すぐに買ってくれるお客さんもいます。ここでは一旦、検討に時間をかける大部分の顧客について考えます。
この大部分のお客を「逃さない」ということが、「人を集める」= 「リストを集める」ということ。
そして集めた人を「育てていく」という考え方が、この後紹介する「リード・ナーチャリング」の考え方へとつながります。
※ ただし、リード・ナーチャリングは時間も手間もかかる施策です。後述するように、商売の設計図の全体の整合性が整うまでは、一旦スキップしてもよい段階と考えています。
基本的には、Webマーケティングは成約に近い部分ほど施策を行った際に効果が出やすいことが知られています。
この「育てる」という部分は、「今すぐ客」へのアプローチではなく、潜在的な顧客に対し、長期的なアプローチをとっていくもの。
成約部分からは遠い部分への施策となるので、優先順位としては低めで良いでしょう。まずはセールスページ・LPなどを作成して、今すぐ客を確実に刈り取っていくのが第一になります。
それでも、リストを「集めておく」というだけでも後から大きなアドバンテージになるでしょう。
潜在顧客を育てよう。リード・ナーチャリング
潜在顧客を見込み客に変えるには、以下のようなステップを経て成約に至ります。
- リードジェネレーション 潜在顧客とコンタクトを取るための情報を獲得する。
- リードナーチャリング(Lead Nurturing)。見込み客が欲しい情報を提供し、見込み客を増やす。このプロセスは、メールマーケティングやSNSマーケティングを経由して行われることが多い。
このリードナーチャリングを行うには、メールマーケティングのプラットフォームとして「ConvertKit」(https://convertkit.com/)を使用することをお勧めします。
ConvertKitは、潜在顧客や見込み客、既存顧客との関係性を維持するのに役立ちます。さらに、見込み客の情報を取得するための特別な情報である「オファー」を配信することもできます。
オファーにはさまざまな種類があります。例えば下記。
- 電子書籍
- マーケティングペーパー(ホワイトペーパー)
- インフォグラフィック
- クーポン
- 1on1セッション
- セミナーへの招待
- ウェビナーへの招待
毎日のメールマーケティングは大変。ならばステップメール・Lステップを活用していく
潜在顧客を見込み客、顧客に変えるには、情報を送り、連絡を取り続けることです。
ただ、連絡を取り続けるというのはなかなか大変なもの。日々コンテンツを作り続けなくてはならず、コンテンツが枯渇してしまうこともしばしば。
その場合には、あらかじめ一定のステップを構築したメールである「ステップメール」を活用していくと良いでしょう。
ステップメールはあらかじめ配信数を決めておき、一定期間、一定のコンテンツで顧客の育成をしていくという手法です。
日本・韓国でB2C商品を販売していく場合、LINEをこのようなステップメール形式で活用する「Lステップ」というサービスが存在します。
メールよりも開封率が高く、反応率が良いという声もあるため、ターゲット・ペルソナがLINEを日々活用している層で商材との相性が良さそうであれば、Lステップを活用していくと良いでしょう。
Lステップ | LINE公式アカウント特化のマーケティングツール
マーケティングオートメーションは必要か?
B2Bビジネスにおいては、顧客のステップに応じてマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入することがあります。
マーケティングオートメーションツールは使いこなすことができれば強力な武器になりますが、MAツールが必要な段階と、まだ不要な段階とがあります。
MAツールに関していうと、以下の条件がそろっていてはじめて、成果が出る。 (1) 保有するリードが10,000件以上ある (2) インサイドセールスの体制が整っている (3) リードとのコミュニケーションに必要なコンテンツ(ブログ、セミナー、ホワイトペーパーなど)を、定期的に生み出せる体制がある こうした検討をしないまま手法やツールを導入してしまうと、せっかくリソースを割いても思ったような成果を出せず、損をしてしまいます。
BtoBマーケティング虎の巻(MarkeZine Digital First) ツール・手法を導入する前にすべきこと | 栗原 康太
上記のように、マーケティングオートメーションには運用していくのに一定のコストがかかります。適切に顧客のステータスを把握しつづけ、クロージングまでのコストをかける必要があるのです。
そのため、上記で挙げられている条件が整っていない場合には、マーケティングオートメーションツールを無理に導入していく必要はないでしょう。
まずはリード数を増やしていく、コミュニケーションに必要なコンテンツを作成していく、などそれぞれのポイントに1つずつ注力していくほうが得策です。
「育てない」という選択もアリ
この顧客育成ステップは、すべてのステップの中でもっとも時間的コストがかかるステップだと言えるでしょう。
そのため、最初の段階では顧客育成はせず、「すぐに買ってくれるお客様」だけを相手にしていくのもアリです。
スモールビジネスではリソースが限られているので、このステップを飛ばして他のステップを最適化させていく。
「人を集める」というステップは、「どれだけ集まったか?」という集計のステップと単に捉える。
まずは本ステップ以外を完成させて、ひと通り回してみるのも手です。特に広告を活用してサイクルを回していくことを検討している場合、本ステップを一旦飛ばして他サイクルを最適化させていくほうが優先かもしれません。
6. 売る(売るときの改善、売った後の改善)
ついに売り上げが上がりました!おめでとうございます🎉
さらに売上を高めるために、売り方を改善していく
しかし、セールスの段階でも、以下のような改善策を考えておく必要があります。
- 1つの案件の売上金額を最大化する
- 一緒に購入する別の製品を勧める(クロスセル)
- お客様にもっと多くの個数を買ってもらう(アップセル)
- 既存顧客に再販する
- 既存顧客から良い評価を得る
売れなかったときに、売れなかった理由を考える
また「売れなかった場合」においても、ヒートマップや Google Analytics 等を通じて、「どこで離脱したのか?」を把握していくことが大切です。
ページ内分析(On-Page Analytics)にはヒートマップ、サイト全体のページをまたぐ分析にはGoogle Analyticsを始めとしたアクセス解析が有用です。
販売ページをLP形式の1枚もので作成した場合には、ヒートマップ分析は必須です。ページ上のユーザーのスクロール率で「どこで離脱したのか?」を把握することが可能です。
最近では画面録画のできるヒートマップ解析ツールが増えてきているので、画面録画のできるヒートマップツールを導入しておくと良いでしょう。
あるいは、Web以外の原因で離脱してしまったかもしれません。その場合、顧客データや行動を参照しながらカスタマージャーニーマップと突き合わせてみると良いでしょう。
商売・ビジネスプランの作成や実行に行うことは多い。でもシンプルかつ面白い!
スモールビジネス とはいえ、始めるまでに決めるべきこと・検証すべきことがたくさんあることを知って、気持ちが沈んでしまったかもしれません。
しかし、冒頭でもご紹介したように、ビジネスとは本来はシンプルなもの。「商売は逆算で成り立つ」のです。
ここで紹介した1つ1つの検証や改善が、売上やお金につながるもの。そして、スモールビジネスでは、すべてをあなた自身で決めることができるのです!無限の可能性と、無限の工夫をすることができます。
本記事をご参考に、ひとつひとつやってみてください。 ポイントは完璧主義にならないこと。キャンバスにあなた自身のビジネスを描いていき、まずは自転車を漕ぎ出してみましょう。
この記事の気になる箇所を読み返す:
- 1.まず、売るものを決める
- 「とりあえず」で決めておく
- 完璧主義にならない
- 商材として何を売れば…?自分のもっているスキルを・資産を棚卸しする
- マーケットから始めず、まずは「あなた」から始める
- 競合サービスを調べてみて、市場が存在するかをチェックする
- 課金形式、料金を考える
- 「価格」は商品そのものの一部である
- 書き出したあなたの商材・サービスを絞り込んでいく
- 2. 欲しがっている人を探す
- あなたの顧客は誰ですか?
- 理想の具体的な顧客の描き方: "ペルソナ"
- B2Bの場合のペルソナ設計
- 参考: 「N1顧客」手法について
- 3. ペルソナが欲しがる情報を探し出す
- ペルソナになりきって、情報に触れてみる。同時に競合を把握する
- 顧客の道順を考える。カスタマージャーニーマップ
- 4. その情報をばらまく
- ペルソナはどこにいるのか?マーケティングチャネルの選定と最適化
- 情報をばらまくとき、SEOは第一選択のチャネルとしてはあまりおすすめできない
- 5:人を集める
- ほとんどの顧客は、すぐには買わない
- 潜在顧客を育てよう。リード・ナーチャリング
- 毎日のメールマーケティングは大変。ならばステップメール・Lステップを活用していく
- マーケティングオートメーションは必要か?
- 「育てない」という選択もアリ
- 6. 売る(売るときの改善、売った後の改善)
- さらに売上を高めるために、売り方を改善していく
- 売れなかったときに、売れなかった理由を考える
- 商売・ビジネスプランの作成や実行に行うことは多い。でもシンプルかつ面白い!
Category: 起業・独立・スモールビジネス
Tag: スモールビジネス | Webマーケティング全般